1. 分数・小数は、なぜ必要なのか
  2. 分数の意味(1)
  3. 分数の特別な意味
  4. 分数の意味(2)

Ⅰ.分数・小数は、なぜ必要なのか

 物のある側面について、多さとか大きさなどを考えたものが「量」です。

 この量のうちで、1つ1つがはっきりしていて、まとまりをなしているものを、特に、「分離量」といいます。

 例えば、リンゴ・魚・コップなどは、1つ、2つと数えることができます。これは、リンゴ・魚・コップなどが、1つ1つがはっきりとまとまりをなしている分離量だからです。

 これに対して、水・油などは、そのままでは1つ、2つと数えることができません。このように、それぞれがつながっていて、1つ、2つと数えることのできない量を「連続量」といいます。

 自然数は、分離量を数えるときに用いることができますが、連続量を計るときには、一般に用いることができません。

 このように、自然数だけでは、分離量を計ることができないため、小数・分数を考え出したのです。

Ⅱ.分数の意味(1)

 下図のテープの長さを計ることにします。今分かっていることは、2m分だけ取っても、まだ、半端が残っているということです。

テープ

 小数では、1mを10等分して、0.1mという新しい単位を考えて、この「半端」を計ります。

 それでは、分数では、どのように考えて、この半端を計るのでしょうか。

 分数では、小数のように、予め新しい単位(0.1mなど)を作らずに、この「半端」を利用します。

 半端を元に、1mを計っていきます。

 ちょうど3つ分だったとします。この時、「半端」の大きさを、1/3だといいます。    

 つまり、「3つ集まれば1になる大きさ」を「 1/3 」というのです。同じように、

「 2/3 」は、「3つ集まれば2になる大きさ」という意味になります。 

Ⅲ.分数の特別な意味

 2本のテープを3人で分けることを考えてみましょう。

 上図から、1人分のテープの量は分かりますが、これを分数で表わすとどうなるでしょうか。

テープを3人で分けるのだから、1人分は「1/3」だといえますね。 

しかし、「 1/3 本」といっても良いでしょうか。

図を見ると、3つ集めると2本になっていますね。したがって、「 2/3 本」になります。

そうすると、最初に、「1/3」だと考えたのは、間違いになるのでしょうか。

 いいえ、そうではありません。

 最初に考えた「 1/3」は、1/3 という量を表わしているのではなく、 1/3という割合を表わしていたのです。 

 したがって、「 1/3」も、「 2/3本」も、どちらも正しいといえます。

 このように、「量を表わす分数」と「割合を表わす分数」があります。

 この割合が、分数の持っているもう1つの意味です。

Ⅳ.分数の意味(2)

 先程、2本のテープを3人で分けることを考えました。そして、その時、1人分の量が、

2/3 本 であることがわかりました。これは、

1/3本が2つ集まった → 1/3×2 = 2/3

と考えることができます。ところが、これは、

2本を3つに分けた時の1つ分 → 2 ÷ 3 =2/3

と考えても良いのです。つまり、分数は、掛け算や割り算を行った結果を表わすと考えても良いのです。これも、分数の持っている意味です。